行政視察報告書

2001.10.02 (Tue.)


岡山県西部環境整備施設組合

和歌山県
御坊周辺広域市町村圏組合
御坊広域清掃センター


 御坊広域圏

 御坊広域圏は、和歌山県の6広域市町村圏の1つで、県庁所在地の和歌山市から約40q、大阪市から約100q南下した県の中央部に位置している。圏域西部は紀伊水道に面し、天気の良い日には海を隔て四国の山並みを望むことができる。また、圏域中央部を有吉佐和子の小説に描かれた日高川が流れ、県の最高峰護摩壇山からの豊かな流れにより県内第2の日高平野を形成している。
 平成8年3月に開通した湯浅御坊道路を利用すると、中心都市である御坊市から和歌山市まで約40分、関西国際空港まで約1時間で行くことができる。
 また、御坊広域圏は、自然環境に恵まれた美しい地域、そして歴史と文化の香り高い地域である。紀伊水道に面した西部は白崎海岸、産湯海岸、煙樹海岸と、色々な表情を見せ、その海から育まれる恵みも四季を通じて豊かである。女流作家有吉佐和子の小説にも描かれた日高川は、紀伊山地の深い谷筋を蛇行しながら流れ、3月のアマゴ解禁、5月のアユ解禁には多くの太公望で賑わう。
 平安期、神々の棲む国熊野を目指し「蟻の熊野詣」とまでいわれた熊野信仰。その名残りが熊野古道、王子社として見られる。安珍清姫ゆかりの道成寺。尺八と虚無僧の寺、興国寺。歌舞伎の女形として名を馳せた芳澤あやめ。北米移民の村、アメリカ村。潮の香り、山の香り、歴史の足跡、そして人の温もりにあふれた地域である。

 御坊周辺広域市町村圏組合 
 御坊市湯川町財部651 
 TEL0738-23-2592

 御坊周辺広域市町村圏は、昭和44年に御坊市・美浜町・日高町・由良町・川辺町・中津村・美山村及び印南町の1市5町2村が広域市町村圏構想に基づき圏域指定を受け、昭和45年12月25日、御坊周辺広域市町村圏組合が設立された。
 現在の庁舎は、昭和56年3月に竣工し、総務課、管理課、企画課、介護認定審査課及び補導センターが業務を行っている。


 和歌山県・御坊市

 御坊市は、紀伊半島の海岸線のほぼ中央部、日高平野に位置し、東西に約 8.4km、南北に約16.3kmと細長い帯状をなしている。その中央部を2級河川、日高川が貫流し、市域を河北、河南に区分している。総面積は、43.78ku(昭和63年10月1日国土地理院)である。
 主要都市までの距離は、和歌山市までは約40km、大阪市までは約110kmであり、鉄道ではそれぞれ35分、76分の時間的距離にある。御坊市は昭和29年に市制が施行され、それまでの御坊町、湯川村、藤田村、野口村、塩屋村、名田村が合併して市となった。以降御坊市は今日まで、日高地方の行政、文化、教育、経済の中核的な役割を果たしながら発展してきた。御坊市の歴史的一面としては、奈良の東大寺の大仏殿を建立した、聖武天皇の御生母「宮子姫」生誕の地であり、その他にも有間皇子古墳、野口城跡、亀山城跡等があり、歴史遺産の宝庫となっている。


 
 御坊広域清掃センター 
 御坊市名田町野島2731-4 
 TEL 0738-29-3030御坊広域清掃
 御坊広域清掃センターは、和歌山県御坊市・美浜町・日高町・由良町・川辺町・中津村・美山村・印南町の74,593人・578.92ku一般廃棄物処理施設である。
 生活様式の向上に伴い多種多様化する一般廃棄物の処理体制確立のため、昭和55年から業務を開始している。平成7年度には施設の老朽化により新施設の更新に取り組み、平成10年4月から新施設での業務を行っている。
 御坊広域清掃センターでは「流動床炉」と呼ばれる焼却方式と灰加熱脱塩素化処理施設によって公害防止に万全を期し業務を行っている。この焼却工場では、可燃ゴミとし尿汚泥を焼却処理している。

 処理能力は、1日98t。(49t/16H×2炉) 三井造船鰍フ施工。

 
 
 規模的には、岡山県西部環境整備施設組合・里庄工場と同程度である。
 岡山県西部環境整備施設組合・里庄工場は、一般廃棄物の焼却処理だけで、笠岡市・里庄町・鴨方町・寄島町がそれぞれ異なる収集方法で収集した可燃ゴミの焼却処理をしている。つまり分別方法もゴミ袋もそれぞれの自治体で異なっている。
 一方、御坊広域清掃センターは、資源ゴミ貯留場・不燃ゴミ貯留場・粗大ゴミ貯留場・可燃性粗大ゴミ処理施設・ペットボトル粉砕処理施設が併設されている。またすぐ近くに最終処分場も併設している。そして1市5町2村が統一した収集方法・分別収集を実施している。
   


 
  ペットボトルの収集方法が複雑

 御坊周辺広域市町村圏組合において、平成12年4月より始まったペットボトルの拠点回収(スーパーマーケット、コンビニエンス・ストア等に回収箱を設置)で御坊広域清掃センターが回収した量は1年間で45トンであった。
 回収した量に対して、リサイクルできた量は55.5%の25トン程度であり、残りの20トンはペットボトルでないものや異物の混入したもので、リサイクルできなかった。リサイクル率を上げるため、ペットボトルを回収箱に入れる前にもう一度ペットボトルの出し方を徹底して、回収箱に投入するよう呼びかけている。
 笠岡市の場合、ペットボトルは、水洗いして蓋をはずして近くの分別収集場所に出せばよいが、御坊周辺広域市町村圏組合の場合、蓋を取り、水洗いし、ラベルをうがし、ペットボトルをつぶして指定された拠点回収に投入という複雑さが災いしているように感じた。




   
ペットポトル粉砕処理施設の手作業

 
粉砕する前に、色付きのペットボトルを分別して、透明なペットボトルだけ手作業で蓋をはずし、ラベルをはがす。そしてベットボトルを糸ノコで、上部を切断する。
そしてやっと、粉砕機にかける。
粉砕機により細かく粉砕して洗浄してフレーク状にする。これを1Kgあたり10円で業者に引き渡すという。ルールを守って出せば、作業は大幅に楽になるという。全くの手作業に驚嘆した。こうした状況を見ればリサイクルの大変さが理解できる。




   「資源ゴミのストックヤード」
  山の上に残る 「古い焼却工場」


 御坊広域清掃センターは不燃ゴミと資源ゴミは委託業者が処理している。それらはストックヤードにそれぞれ山済みされている。
 ルールの守られていないものは、リサイクルできず、そのまま産業廃棄物の最終処分場へ行くという。
 後方の山の上に見える白い工場は古い焼却施設である。煙突だけは撤去しているが、本体の撤去は予算がつかず目処が立っていない。
 里庄工場にも古い焼却施設がそのまま残っている。普通に撤去するのに約1億5000万円。ダイオキシン対策を講じたマニュアル通りに解体撤去すれば、3倍の4億5000万円という試算である。里庄工場も解体撤去の予算の目処が立っていない。


 福井県小浜市では、苦しい財政状況の中
解体撤去を行うという。(2002.02.05・小浜市の朝日新聞記者から電話あり。)
 解体撤去の場合、国の補助金もない中の苦渋の決断だと思う。
 しかし、いつかは解体撤去しなければならないはずである。


 
2002.02.22の組合議会、公式の場でこの問題を質しました。
 当初、1億8000万円と試算したが、現在の試算では、4倍の7億円〜8億円と明言致しました。
 そして、計画的な予算化を強く要望致しました。


1市5町3村の統一した収集方法


 御坊周辺広域市町村圏組合においては、ゴミの出し方が1市5町3村で統一されており、ホームページ上で、アイウエオ順のゴミの出し方の検索が可能である。
 岡山県西部環境整備施設組合は、笠岡市・里庄町・鴨方町・寄島町と1市3町が、異なる収集をしていて統一されていない。平成14年4月からは、笠岡市においてゴミ袋の一部有料化が実施されるわけだが、3町においては既に指定ゴミ袋を有料化している。
 今後、1市3町での統一したゴミ収集方法・分別収集が可能になればと願うわけだが、大変厳しい状況のように感じている。ゴミの収集方法の統一だけで問題になるわけで、市町村合併となれば、もっともっと複雑な問題が予想される。